金融会社のデザインシステムの構築と維持に何年も費やしました。厳格なルールを持つコンポーネントライブラリ、詳細に文書化されたカラートークン、事前定義されたスケールのタイポグラフィ、すべてのボタンとインプットの状態。すべてが計測され、すべてが正当化され、すべてが再現可能でした。
AIが完全なインターフェースを数秒で生成し始めた時、最初に思ったのは「きれい」ではなく「カオスだ」でした。
AIは画面を生成するがシステムは生成しない
これは多くの人が見落としているポイントです。どのAIにもバンキングアプリのログイン画面をデザインするよう頼めば、視覚的に魅力的なものを出してくれます。しかしその画面はシステムのトークンを尊重しません。グリッドに定義した8pxのスペーシングを使いません。プライマリーボタンのborder-radiusが8pxではなく12pxであることを知りません。それはブランドチームが2年前に3ラウンドのテスティングを経て決めたことだからです。
デザインシステムはコンポーネントに翻訳された組織の記憶です。AIには組織の記憶がありません。なぜ会社がそれらの色を選んだのか、前回誰かがガイドラインを無視した時に何が起きたのか、AIは知りません。
AIがシステムを強化する場面
とはいえ、デザインシステムを活かし続けるためにAIが最高の味方になった領域があります。ドキュメンテーションの生成に使っています。新しいコンポーネントの文書化には以前何時間もかかりました。使用ルール、やるべきこととやってはいけないこと、状態、バリアントを書く必要があったからです。今はClaudeにコンポーネントの技術仕様を渡せば、数分でレビューと調整だけで済むドキュメントの初稿ができます。
一貫性の監査にもAIを使っています。プロダクトのスクリーンショットを渡して、デザインシステムの原則に違反している箇所を特定するよう頼みます。完璧ではありませんが、同じ画面を何ヶ月も見続けた後に人間の目が見落とす不一致を捉えてくれます。
システムの拡張の探求にも使います。新しいコンポーネントが必要な時、既存のトークンを尊重した10のバリエーションをAIに生成させます。ほとんどは使えませんが、必ず一つか二つは違う考え方のインスピレーションになります。
システムデザイナーの価値は下がらず上がる
AIがとんでもない速度で画面を生成する中、これまで以上に重要になるのは、それらの画面が従うべきルールを誰が定義するかです。機械から出てくるすべてに一貫性を与えるシステムを誰が構築するか。
それがまさにシステムデザイナーの仕事です。AI時代にその役割は消えません。チームで最も重要な役割になります。
誰かが一貫性の番人でなければなりません。そしてその誰かはAIではないのです。